犬と猫の急性腎障害(AKI)|症状・原因・治療について獣医師が解説

急性腎障害(AKI)』と言う病気を聞いたことはあるでしょうか。

急性腎障害が起きると、次のような症状が突然見られるようになります。

『元気・食欲がなくなった』

『何度も吐く』

『おしっこが出なくなった』

大事なとしてはこの症状が” 突然 ”起こる事です。
急激に腎臓の機能が低下していくことで、短期間で命に危険が及ぶ恐ろしい病気です。

今回は、急性腎障害の原因や症状、治療法について解説します。


急性腎障害とは?

急性腎障害は、短期間のうちに腎臓の機能が低下し、生命を維持するのに必須である、「老廃物の排泄」や「水分の調節」、「電解質の調節」などを適切に行えなくなる状態です。

慢性腎臓病(CKD)が長い時間をかけて進行するのに対し、急性腎障害では数時間~数日という短期間で状態が悪化することがあります。


急性腎障害の原因は?

急性腎障害にはさまざまな原因があります。

代表的なものとして、次のようなものがあります。

  • 重度の脱水
  • 腎臓への血流低下 : 心臓病や低血圧
  • 全身の感染症 : レプトスピラ症など
  • 腎臓への感染症(腎盂腎炎
  • 自己免疫疾患 : 免疫が暴走して腎臓を攻撃してしまう
  • 中毒 : 犬 – ブドウ・レーズン / 猫 – ユリ科の植物
  • 一部の薬剤
  • ヘビ毒
  • 尿路閉塞 : 尿管や尿道が詰まることで、尿が排泄できなくようになった状態 など

また、急性腎障害の原因は一つだけとは限らず、脱水や感染症など複数の要因が重なって発症することもあります。


どんな症状が出る?

症状は原因や重症度によって異なりますが、次のようなものが見られます。

  • 元気・食欲がない
  • 嘔吐
  • 尿量の減少乏尿あるいは無尿
  • けいれん など

急に元気や食欲がなくなり、繰り返し吐いている場合にはなるべく早く受診するようにしてください。

また、尿量が減ってしまう「乏尿」「無尿」、あるいはけいれんは重症例でみられることがあり、緊急治療が必要な一刻を争う危険な状態です。


どうやって診断する?

急性腎障害が疑われる場合には、血液検査や尿検査を行います。

これらの検査で腎機能の障害の程度(重症度)を評価します。

さらに、超音波検査レントゲン検査によって腎臓の状態や尿路閉塞の有無を確認することも重要です。

また、検査と合わせて大事なことが、異物や薬剤の接種歴です。
体調を崩す前に何か変わったものを食べていなかったかがとても重要になります。

急性腎障害では、腎機能の数値だけで原因を判断することはできません。

「なぜ腎臓が急に悪くなったのか」を調べることが、その後の治療方針を決めるうえで非常に重要です。


治療は?

治療は原因や重症度によって異なります。

  • 脱水 → 点滴
  • 心臓病低血圧 → 心臓の働きや血圧を改善させる薬剤
  • 感染症 → 抗菌薬
  • 自己免疫疾患 → 免疫抑制剤
  • 尿路閉塞 → 閉塞の解除 など

原因が分かる場合には、それぞれの原因に合った治療を行う必要があります。

原因が分からない場合も多くありますが、原因に関わらず、腎臓の機能を保護するため、あるいは電解質(ミネラルバランス)の異常を改善するために点滴は必須の治療となります。

また、嘔吐などの症状があればそれらの症状に対する治療も同時に行っていきます。

乏尿あるいは無尿など重症例では、血液透析などの腎代替療法が望ましい場合もありますが、獣医療では一般に実施が難しい方法になります。

急性腎障害は原因を早期に取り除き、適切な治療を行うことで腎機能が回復する可能性があります。
一方で、重症例では命を落としてしまったり、回復しても慢性腎臓病へ移行することもあります。


「急に具合が悪い」は早めの受診を

急性腎障害は、昨日まで元気だった犬や猫が短期間で急激に体調を崩し、致死的な状態に陥ってしまう恐ろしい病気です。

お家で急性腎障害を疑うような特徴的な症状が見られないことも多いですが、
「何度も吐いている」「急に食べなくなった」「ぐったりしている」「尿が出ない」などの症状がある場合には、様子を見ずに早めに動物病院を受診しましょう。

特に、尿が出ない繰り返し嘔吐する意識状態が異常な場合には、緊急性が高い可能性があります。

急性腎障害は、早期発見と原因に応じた治療が重要な病気です。

急な体調変化がみられた場合には、できるだけ早く動物病院で診察を受けることをおすすめします。

このコラムが飼い主のみなさんの参考になれば幸いです。

不安な点、心配な点があれば気軽にご連絡・ご相談ください。

「こんなこと聞いてもいいのかな」と思うことでも尋ねてもらえれば、病院として何かお手伝いができるかもしれません。

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