「最近、寝ている場所が濡れている…」
「気づいたらベッドやソファでおしっこをしてしまっていた」
犬のお漏らし(尿失禁)は、高齢犬だけでなく若い犬でも起こることがあります。「年だから仕方ない」と思われがちですが、中には治療が必要な病気が隠れていることも少なくありません。
今回は、犬のお漏らしの原因や考えられる病気、動物病院を受診する目安について獣医師が分かりやすく解説します。
※注意
大前提として診察をせずに、「家で様子を見ていて大丈夫」と言うことはできません。
基本的に異常があるようであれば受診することをおすすめしています。

そもそもお漏らし(尿失禁)とは?
尿失禁とは、自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまう状態を指します。
特に次のような場合は尿失禁が疑われます。
- 寝ている間に尿が漏れている
- 歩いているときに尿がポタポタ垂れる
- 本人は排尿したことに気付いていない
一方で、意識的にトイレ以外の場所で排尿する場合とは区別する必要があります。
犬のお漏らしの主な原因
① 加齢による筋肉の機能低下
高齢になると尿道を締める筋肉が弱くなり、少しずつ尿が漏れてしまうことがあります。
「寝ている時」「リラックスしている時」に起こりやすいのが特徴です。
② 精神的な影響
特に幼い子で多いですが、喜んだり、興奮したり、恐怖を感じた時にお漏らしをしてしまう子がいます。
一般的には成長すると見られなくなりますが、成犬になっても見られる子もいます。
③ ホルモン反応性尿失禁
避妊済みのメスでよくみられる原因です。
ホルモンの影響で尿道を閉じる力が弱くなり、睡眠中や横になっているときに尿漏れが起こります。
症状は一時的で時間が経つと改善してしまう場合もありますが、尿量が多い場合には薬が必要になる事もあります。
④膀胱・尿道の障害
結石や腫瘍・ポリープ、再発する膀胱炎、外傷などが原因で膀胱・尿道の機能が損なわれ失禁が見られる場合もあります。
⑤ 神経の病気
脳や脊髄、そこから枝分かれする神経の異常によって膀胱を正常にコントロールできなくなることがあります。
そのような病気の場合には、以下のような症状が併せて見られることがあります。
- 足の麻痺
- ふらつき
- 歩き方の異常 など
⑥ 先天的な異常
- 異所性尿管:尿管が膀胱ではなく尿道に繋がってしまう異常です。
本来、腎臓で作られた尿は尿管を通って膀胱へたどり着きます。膀胱の出口には膀胱括約筋・尿道括約筋が存在し排尿を制御していますが、これらの括約筋より下流に尿管が繋がってしまうと尿失禁が起こってしまいます。 - 尿膜管遺残:胎児期に存在し、徐々に消失するはずの尿膜管が残ってしまう事で膀胱の変形が起こり尿失禁が見られる場合があります。
⑦ 水をたくさん飲む病気
尿量そのものが増える病気では、お漏らしのように見えることがあります。
「最近よく水を飲む」という変化も重要な手がかりになります。
以下のコラムも参考にしてください。
→ 犬が水をよく飲む…犬の多飲とは?原因とお家でチェックして欲しいポイント
こんな症状は早めに受診を
基本的に尿失禁が見られたら治療が必要な病気の可能性もあるので、一度受診することをお勧めします。
特に、次のような症状がある場合は動物病院での診察をおすすめします。
- 血尿が出ている
- 頻繁に排尿姿勢をとる
- 排尿時に痛そうに鳴く
- 歩き方の異常がある
- 水を飲む量や尿量が急に増えた
これらの症状が見られる場合は、単純な加齢市営のお漏らしではなく、何らかの病気が隠れている可能性が高いです。
飼い主さんへのメッセージ
犬のお漏らしは加齢だけが原因ではなく、上に並べたような病気が隠れていることがあります。
症状が繰り返すようであれば、「年齢のせいかな」と様子を見ずに、一度受診することをお勧めします。
また、その際には尿検査のための尿をもって来ていただけると大変助かります。
このコラムが飼い主のみなさんの参考になれば幸いです。
不安な点、心配な点があれば気軽にご連絡・ご相談ください。
「こんなこと聞いてもいいのかな」と思うことでも尋ねてもらえれば、病院として何か手助けができるかもしれません。







