変形性関節症は関節の軟骨がすり減り、骨・関節周囲に炎症が起こることで慢性的な痛みを引き起こす病気です。
加齢とともに発症しやすくなりますが、肥満や関節への負担、過去のケガなども大きく関係しています。
犬の場合、10歳以上では40%の子が、
猫の場合、1歳以上で74%、12歳以上で90%と非常に多くの子がこの病気を抱えていると考えられています。
「年を取れば仕方ない病気」と思われがちですが、日頃の生活を見直すことで発症リスクを減らしたり、進行を遅らせたりすることは可能です。
今回は、ご家庭で実践できる変形性関節症の予防についてご紹介します。

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まずは適正体重を維持すること
変形性関節症の予防で最も重要なのが、適正体重を維持することです。
体重が増えると、その分だけ関節には大きな負担がかかります。
特に股関節や膝・肘などの関節は毎日の歩行やジャンプのたびに負担がかかっているため、肥満状態では軟骨の摩耗が進みやすくなります。
「少し太っているくらいなら大丈夫」と思われることもありますが、そのわずかな体重増加でも関節への負担は少しずつ蓄積されます。
食事量やおやつを見直し、適度な運動を取り入れながら理想的な体型を維持することが、将来の関節を守る第一歩です。
適度な運動を習慣にする
筋肉量を維持することも関節の負担を抑えるのに大切です。
運動不足になると筋力が低下し、関節にかかる負担が増えてしまいます。
一方で、過剰な運動や長時間の運動は関節を痛める原因になることもあります。
大切なのは、毎日無理なく続けられる運動です。
犬で場合は、適度な散歩を毎日継続することが理想です。
休日だけ長時間歩くよりも、短時間でも毎日体を動かす方が関節には優しいと言われています。
猫の場合は、おもちゃを使って遊んだり、無理のない範囲で体を動かせる環境を作ったりすることが大切です。
滑りやすい床には要注意
フローリングのような滑りやすい床では、関節への負担が大きくなります。
特にシニア期では、滑らないように踏ん張る動作が関節の痛みを悪化させる原因になることもあります。
飼い主さんから「フローリングを避けるようになった」と言う話もよく聞きます。
リビングや廊下など、よく歩く場所にはカーペットや滑り止めマットを敷くことで、関節への負担を軽減できます。
お家の中の生活環境を少し工夫するだけでも、関節への負担は大きく変わります。
ジャンプや段差の負担を減らす
犬では、ソファやベッド、車への乗り降りを繰り返すことで関節に負担がかかります。
スロープやステップを設置すれば、ジャンプによる衝撃を減らすことができます。
猫は高い場所を好む動物ですが、シニア期になると高いところへのジャンプが負担になる場合があります。
キャットタワーの高さを調整したり、途中にワンステップ設けたりして、一度に大きく跳ばなくても移動できる環境を整えてあげましょう。
関節に負担をかける病気は早めに治療
変形性関節症は、加齢だけが原因ではありません。
股関節形成不全や膝蓋骨脱臼、前十字靱帯断裂などの病気があると、関節に偏った負担がかかり、変形性関節症が進行しやすくなります。
足を引きずる、びっこを引く、歩き方がおかしいなどの症状が見られたら、「そのうち治るだろう」と様子を見るのではなく、早めに動物病院を受診することが大切です。
原因となる病気を適切に治療することも、将来的に関節の健康につながります。
サプリメントの活用
最近では、様々な動物用の関節サプリメントが登場しています。
脂肪酸製剤(DHAやEPA)や軟骨成分(グルコサミンやコンドロイチン)などのサプリメントがあります。
個体差もあるのでどれが一番とは言い難いですが、個人的には脂肪酸製剤は効果が出やすいように感じます。
飲み始めるのに適切なタイミングは一律には決められないですが、シニア期(7歳~)になったタイミングや、一時的にでも関節を痛めるようなことがあれば飲み始めた方が良いでしょう。
定期的な健康診断で小さな変化を見つけましょう
変形性関節症は、ゆっくりと進行する病気です。
そのため、飼い主さんが毎日一緒に過ごしていると、小さな変化に気付きにくいことがあります。
シニア期に入った犬や猫では、年に数回定期的な健康診断を受けることをおすすめしています。
診察では歩き方や関節の動き、筋肉量などを確認し、必要に応じてレントゲン検査を行うことで、症状が軽いうちに治療を開始できる可能性があります。
日頃の積み重ねが関節を守ります
変形性関節症は完全に防ぐことは難しい病気ですが、適正体重の維持、適度な運動、生活環境の工夫、そして定期的な健康診断を続けることで、発症リスクを減らし、進行を遅らせることが期待できます。
「まだ元気だから大丈夫」と思っている若いうちから関節ケアを始めることが、シニア期の快適な生活につながります。
愛犬・愛猫がいつまでも自分の足で元気に歩き、好きな場所へ自由に移動できるように、今日からできる関節ケアを少しずつ始めてみましょう。
このコラムが飼い主のみなさんの参考になれば幸いです。
気になる事があればいつでも動物病院へご相談ください。
「こんなこと聞いてもいいのかな」と思うことでも尋ねてもらえれば、病院として何かお手伝いができるかもしれません。




