「最近歩き方がぎこちない」
「ジャンプをしなくなった」
「よく寝るようになった」
このような症状がみられた場合、変形性関節症が隠れている可能性があります。
変形性関節症は関節の軟骨がすり減り、骨・関節周囲に炎症が起こることで慢性的な痛みを引き起こす病気です。
関節を元どおりに治すことは難しいものの、適切な診断と治療によって痛みを軽減し、生活の質(QOL)を改善することは十分可能です。
今回は、動物病院で行う診断と治療についてご紹介します。

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まずは「歩き方」と「関節の状態」
変形性関節症の診断では、レントゲン検査だけでなく、普段の様子や身体検査がとても重要です。
診察では、飼い主さんから以下のようなお話を伺います。
- いつ頃から症状が出始めたか
- 散歩や遊び方の変化
- ジャンプや階段での動き
- 寝起きの歩き方
- 症状は悪化しているか、それとも変わらないか
その後、実際に歩き方を観察し、左右の足の使い方や体重のかけ方を確認します。
さらに、触診にて関節を動かして可動域や痛みの有無、筋肉量の低下なども丁寧に評価します。
レントゲン検査で関節の変化を確認
変形性関節症が疑われる場合には、レントゲン検査を行います。
レントゲンでは、以下のような変化がないか確認します
- 関節の隙間が狭くなっていないか
- 骨・関節周囲の変形がないか
- 他の疾患が隠れていないか など

ただし、初期の変形性関節症では、レントゲンに大きな異常が映らないこともあります。
「レントゲンが正常だから関節は痛くない」とは限りません。そのため、症状や身体検査の結果も合わせて総合的に診断することが大切になります。
必要に応じてCT検査やMRI検査を行い、より詳しく評価する場合もあります。
治療の目的は「痛みを減らし、快適な生活を続けること」
変形性関節症は慢性的な病気であるため、治療の目的は関節をもとの状態に戻すことではなく、痛みをコントロールして日常生活を快適に過ごせるようにすることです。
症状や年齢、生活環境に合わせて、いくつかの治療を組み合わせて行います。
消炎鎮痛薬
治療の中心となるのが、消炎鎮痛薬(NSAIDs)です。
炎症を抑えながら痛みを軽減することで、歩きやすくなったり、散歩や遊びを楽しめるようになったりすることが期待できます。
ただし、長期間使用すると腎臓や胃腸に副作用を引き起こすこともあるので、注意が必要です。
新しい治療「モノクローナル抗体製剤」
近年では、犬・猫ともに変形性関節症の痛みに対するモノクローナル抗体製剤という新しい治療法も利用できるようになりました。
この薬は、痛みに関係する物質(神経成長因子:NGF)の働きを抑えることで、慢性的な関節痛を軽減します。
月に1回の注射で効果が期待できるため、毎日の飲み薬が難しい子でも治療を続けやすく、副作用が少ないというメリットがあります。
サプリメント
上記の薬に比べると効果がわかりにくい場合が多いですが、最近は有用な動物用の関節サプリメントも様々な物が登場しています。
脂肪酸製剤(DHAやEPA)や軟骨成分(グルコサミンやコンドロイチン)などのサプリメントがあります。
個体差もあるのでどれが一番とは言い難いですが、個人的には脂肪酸製剤は効果が出やすいように感じます。
体重管理とリハビリも重要な治療です
薬だけではなく、生活習慣の見直しも治療の大切な一部です。
第一に体重管理が大切になってきます。
あまり深刻にとらえられないことも多い印象ですが、体重が減るだけでも行動・歩き方は大きく改善します。
また、
- 適度な運動
- ストレッチ
- 筋力維持のためのリハビリ
- レーザー治療などの理学療法
を取り入れることで、関節への負担を減らし運動機能の維持が期待できます。
原因によっては手術が必要になることもあります
ここまでは薬やサプリメント、リハビリなどを解説してきましたが、
変形性関節症の原因に、以下のような整形外科的(骨・関節に関わる)疾患がある場合は手術も検討する必要があります。
- 股関節形成不全
- 膝蓋骨脱臼
- 前十字靱帯断裂
- 肘関節形成不全 など
どの治療法が適しているかは、年齢や症状、生活スタイルを考慮しながらご提案します。
「年齢のせい」と決めつけず、早めの受診を
変形性関節症は進行性の病気ですが、早期から適切な治療を始めることで、痛みを軽減し、愛犬・愛猫が快適に過ごせる時間を長く保つことができます。
そのためには、飼い主の方が「痛みのサインかも?」と意識し、様子をよく観察し気づいてあげることがとても大切になります。
「歩き方がぎこちない」「ジャンプをしなくなった」「よく寝ている」など、いつもと違う様子に気付いたら、年齢だけが原因と決めつけず、一度動物病院へご相談ください。
早期の発見・治療が、大切な家族の痛みをや和らげ快適な毎日を過ごす第一歩となります。
このコラムが飼い主のみなさんの参考になれば幸いです。
「こんなこと聞いてもいいのかな」と思うことでも尋ねてもらえれば、病院として何かお手伝いができるかもしれません。




