「昨日からフードを食べない」
「好きなおやつも口にしない」
「食べる量がだんだん減ってきた」
猫の食欲不振は動物病院でよくみられる症状のひとつで、飼い主さんもフードを食べない時は心配になると思います。
単に飽き・好みの変化やストレスによる場合もありますが、命に関わる重大な病気が隠れていることも少なくありません。
猫の場合は、飼い主さんが気づくのが遅れて、病院へ受診したときにはかなり重篤な状態に陥っていることも少なくありません。
今回は猫の食欲不振の原因や受診の目安、覚えておいてほしい注意点について解説します。
※注意
大前提として診察をせずに、「家で様子を見ていて大丈夫」と言うことはできません。
基本的に異常があるようであれば受診することをおすすめしています。

そもそも猫の食欲不振とは?
食欲不振とは普段より食べる量が減ったり、まったくフードを食べない状態を指します。
猫は体調不良を隠す習性があるため、飼い主さんが異変に気付いたときには病気が進行していることもあります。
「少ししか食べない」
「好きなものしか食べない」
といった変化も重要なサインです。
猫の食欲不振で考えられる主な原因
食欲不振はあらゆる病気で引き起こされますが、代表的な物を以下に挙げます。
①胃腸炎
食べ慣れないものを食べたり、細菌・ウイルスの感染、ストレスなどによって胃や腸に炎症が起こると食欲が低下します。
嘔吐や下痢を伴うこともあります。
②毛球症(ヘアボール)
猫は毛づくろいによって多くの毛を飲み込みます。
飲み込んだ毛が胃の中にたまり、吐き気や食欲不振の原因になることがあります。
長毛種では特に注意が必要です。
③歯周病や口腔内のトラブル
歯周病や歯の損傷、口内炎などによって口の中に痛みがあると、食べたくても食べられなくなります。
「食べようとはするけれど途中でやめる」「硬いフードを嫌がる」「口の中に入れるがすぐにこぼす」といった症状がみられることがあります。
④異物誤飲
おもちゃや布、ひもなどを飲み込んでしまうと、胃や腸に異常が起こり食欲不振がみられます。
特に嘔吐を繰り返している場合は注意が必要です。
異物が詰まってしまい腸閉塞を起こしている場合には緊急手術が必要になることもあります。
⑤慢性腎臓病
高齢猫で非常によくみられる病気です。
腎機能が低下すると体内に老廃物が蓄積し、吐き気や食欲不振がみられます。
飲水量・尿量の増加や体重減少を伴うこともあります。
⑥その他の内臓の異常
肝臓や膵臓の異常によって食欲不振が引き起こされます。
嘔吐や黄疸や元気消失がみられることがあります。
⑦腫瘍(がん)
高齢猫では消化器やリンパ系の腫瘍によって食欲が低下することがあります。
体重減少や慢性的な嘔吐を伴う場合は注意が必要です。
⑧フードの飽き
同じフードが続くと食べなくなる子がいます。
しかし、飽きたからと言ってフードを変える・あるいはトッピングを加えるとどんどん飽きやすい子になってしまう事があるので注意が必要です。
猫は食べない状態が続くと危険?
猫は数日間ほとんど食べない状態が続くと、「肝リピドーシス(脂肪肝)」という重篤な病気を発症することがあります。
肝リピドーシスになると肝臓の機能が著しく低下し、治療が長期化することもあります。
特に肥満傾向の猫が急に食べなくなった場合は注意が必要です。
猫の食欲不振は、犬に比べると非常に怖い症状であるため早めの受診が重要です。
緊急性の高いサイン
次のような症状が見られたらできるだけ早めに受診してください。
- 元気がない
- 24時間以上ほとんど食べない
- 水も飲まない
- 嘔吐・下痢がある
- 呼吸が荒い
- 体重が減ってきた
- 子猫・高齢猫
猫の食欲不振で「数日様子を見る」ことは非常に危険なので、丸1日フードを食べなければすぐに受診するようにしてください。
飼い主さんへのメッセージ
猫の食欲不振は比較的軽い異常から、慢性腎臓病や腫瘍などの重大な病気までさまざまな原因で起こります。
食欲不振にすぐに気付くためには、日ごろからのフード量のチェックが重要です。
一日どの程度食べているかを必ずチェックするようにしてください。
置き餌で好きな時に食べているとしても器に入れた量と、24時間後に残っている量を比較して必ず食べている量を確認してください。
本当によくあるパターンですが、
「ここ数日食べる量が減っている」と言って受診した方でも、極端に体重が減っていて、「ここ数日」どころではなく「長期的に」食べる量が減っていたと思われ、もっと早く来てくれれば…と感じる症例は多いです。
しつこいようですが猫は絶食に弱く、「もう少し様子を見よう」と受診が遅れるとあっという間に命に関わる状態に陥ってしまいます。
そのため、猫がごはんを食べない、食べる量が減ってきた、体重が減っていると感じたらすぐに受診するようにしてください。
このコラムが飼い主のみなさんの参考になれば幸いです。
不安な点、心配な点があれば気軽にご連絡・ご相談ください。
「こんなこと聞いてもいいのかな」と思うことでも尋ねてもらえれば、病院として何かお手伝いができるかもしれません。







