「猫のアトピーと診断されたけれど治るの?」
「薬は一生飲み続ける必要がある?」
猫のアトピー(アトピー性皮膚症候群)と診断された飼い主さんが最も不安に思う点だと思います。
完治が難しい病気ではありますが、適切な治療を行うことで症状をコントロールし、快適に過ごすことはできます。
今回は猫のアトピーの治療方法や、ご家庭でできるケアについて解説します。

【猫のアトピー性皮膚症候群コラム】
第1回 猫が顔や首をかゆがる原因はアトピーかも|猫のアトピーの症状を獣医師が解説
第2回 猫のアトピーの診断方法|食物アレルギーやまぎらわしい病気との違い
第3回 猫のアトピーの治療方法|内服薬・注射・スキンケアについて
猫のアトピーは完治する?
残念ながら、現在の獣医療ではアトピー体質そのものを完全になくすことはできません。
しかし、
- かゆみを減らす
- 皮膚炎を抑える
- 再発を少なくする
ことは十分可能です。
人の花粉症と同じように、「うまく付き合っていく病気」と考えると分かりやすいでしょう。
治療の目標は、猫が快適に過ごせる状態を維持することです。
アトピー治療の基本は「かゆみを抑えること」
アトピーの猫では、かゆみによって皮膚を傷つけてしまうことが問題になります。
かゆみが続くと、
- 脱毛
- かき壊し
- かさぶた
- 細菌やマラセチアの二次感染
につながります。
そのため、まずはかゆみをしっかり抑えることが重要です。
ステロイド治療
猫のアトピー治療で最もよく使用される薬です。
かゆみや赤みなどをを速やかに改善する効果があり、症状が強い時期には必須の薬剤です。
ただし長期間使用すると、様々な副作用が問題になることがるため、できるだけ低用量で使用していくか、以下のような薬剤に切り替えていきます。
シクロスポリン
アトピー治療でよく使用される免疫調節薬で、アレルギーの原因である免疫の過剰反応を抑えます。
ステロイドに比べて即効性はありませんが、(約2週間ほどで効果発現)
- 長期管理しやすい
- ステロイド使用量を減らせる
というメリットがあります。
副作用がないわけではないですが、ステロイドに比べて長期管理に適した選択肢の一つです。
二次感染の治療
アトピーの猫では皮膚のバリア機能が低下しているため、
- 細菌感染(膿皮症)
- マラセチア皮膚炎 など
を併発することがあり、この場合には、症状に合わせて抗菌薬・抗真菌薬を併用します。
二次感染を治療することで、皮膚の炎症が大きく改善することもあります。
スキンケアも大切
薬だけでなく、皮膚環境を整えることも重要です。
必要に応じて以下のようなものを使用することもあります。
- 保湿剤
- シャンプー
- サプリメント など
しかし、猫は犬に比べて塗り薬やシャンプーを嫌がるので、その子によってできることは変わってきます。
自宅でできる環境管理
アトピーは環境中のアレルゲンが関与しているため、生活環境を整えることも大切です。
- 室内のこまめな掃除
- カーペットや寝具の清掃
- ダニ対策
- 適切な湿度管理 など
このようにすれば症状がなくなるという訳ではないですが、軽減させるためには必要な対応です。
定期的な通院が大切
同じ治療をしていても、アトピーは症状が良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。
そのため、
- 症状の変化
- 薬の効果
- 副作用の有無 など
を定期的に確認しながら、その子の・その時の症状に合わせて治療内容を調節していきます。
猫アトピーの治療は長期的なお付き合いが必要
猫アトピー性皮膚症候群は完治が難しい病気ですが、適切な治療によって良好にコントロールできるケースが多くあります。
上で書いたような治療を組み合わせ、その時の症状に合わせて調節していく必要があります。
「最近かゆみが増えてきた」「薬を飲んでも改善しない」といった場合は、治療内容の見直しが必要なこともあります。
それぞれの猫の症状や生活環境に合わせて治療方針をご相談していきましょう。気になる症状がありましたらお気軽にご相談ください。
このコラムが飼い主のみなさんの参考になれば幸いです。
「こんなこと聞いてもいいのかな」と思うことでも尋ねてもらえれば、病院として何かお手伝いができるかもしれません。



