膿皮症は治る?犬の膿皮症の治療法と再発を防ぐために大切なこと

「膿皮症と診断されたけれど治る病気なの?」
「薬を飲んで良くなったのに、また再発してしまった」
「シャンプーだけで治療できるの?」

このような疑問を持つ飼い主さんも多いのではないでしょうか。

膿皮症は犬でよくみられる皮膚病ですが、適切な治療によって改善できる病気です。しかし、背景に別の病気が隠れている場合は再発を繰り返すこともあります。

今回は犬の膿皮症の診断方法や治療法、再発予防について解説します。

【膿皮症コラム】
第1回 皮膚のかさぶた・赤み・脱毛、それもしかしたら犬の膿皮症の症状かも

第2回 膿皮症は治る?犬の膿皮症の治療法と再発を防ぐために大切なこと


膿皮症はどう診断するの?

膿皮症が疑われる場合、まずは皮膚の状態を詳しく確認します。

赤みや発疹、かさぶた、脱毛の分布を観察し、症状からある程度推測できます。

見た目だけで診断できる場合もありますが、必要に応じて皮膚検査をあわせて実施します。


細胞診検査

皮膚表面の細胞や分泌物・膿を採取し、顕微鏡で観察します。

  • 細菌
  • マラセチア(酵母様真菌)
  • 炎症細胞・異常細胞

などを確認し、細菌が多量にいる場合は膿皮症と診断できます。

その他の検査

症状を繰り返す場合や治療反応が悪い場合には、別の病気を確認するために以下のような検査を行うことがあります。

  • 皮膚掻爬検査
  • 真菌検査
  • 血液検査

特に再発を繰り返す犬では、背景疾患の有無を調べることがとても重要です。


膿皮症の治療法

治療法は症状の程度や原因によって異なります。

外用薬

病変が限られた範囲の場合には、外用薬で十分治療できます。

当院では主にクロルヘキシジンという消毒液を使用します。

抗菌薬入りの塗り薬もありますが、耐性菌(後述)の問題もあるため使用機会は多くありません。

シャンプー療法

全身的に軽度な症状がある場合は薬用シャンプーによる治療も有効です。

皮膚表面の細菌や汚れを減らし、皮膚環境を整えることが目的です。

再発を繰り返す子の皮膚管理として、定期的にシャンプーをしてもらうことで再発を抑えます。

抗菌薬(飲み薬)

症状が広範囲に及ぶ場合や炎症が強い場合には、抗菌薬を使用します。

自己判断により途中で中止すると再発や耐性菌の原因になることがあります。

獣医師の指示に従って最後まで治療を続けることが大切です。

耐性菌とは?

耐性菌とは、一種類以上の抗菌薬に対し抵抗力を獲得し、ある種の抗菌薬が効かない状態になった細菌のことを言います。

複数の抗菌薬が効かないものを多剤耐性菌と言い人の医療でも大きな問題になっています。

元から抗菌薬への耐性を持つ細菌も一定数はいますが、抗菌薬の不適切な使用が耐性菌が増える原因と言われています。

そのため、当院では必要な症例を見極めたうえで抗菌薬を処方するようにしています。

参考:抗菌薬が効かない「薬剤耐性(AMR)」が拡大!一人ひとりができることは? | 政府広報オンライン


なぜ膿皮症は再発するの?

膿皮症は「細菌が増殖して起こる病気」ですが、実際には細菌だけが原因ではないことが少なくありません。

細菌が増殖しやすい皮膚の状態」がなぜ生じているのかを考える必要があります。

そのため、再発を繰り返す場合は根本的な原因を探す必要があります。

膿皮症の背景に隠れている病気

アトピー性皮膚炎

犬で最も多い原因のひとつです。

アトピー性皮膚炎では皮膚のバリア機能が弱くなり、細菌感染が起こりやすくなります。

食物アレルギー

食物アレルギーによる皮膚炎も、アトピーと同様に膿皮症の原因になることがあります。

ホルモン疾患

  • 甲状腺機能低下症
  • クッシング症候群

などの内分泌疾患では免疫力が低下するため、膿皮症が発症しやすくなります。

特に中高齢の犬で膿皮症を繰り返す場合は、皮膚以外の病気についても調べる必要があります。


自宅でできる再発予防

膿皮症の再発予防では、皮膚環境を良好に保つことが大切です。

  • 日頃からのスキンケア(体拭きシートなどの利用)
  • 定期的なシャンプー:やり過ぎは逆効果になることもあります
  • ノミ・マダニ予防
  • アレルギー疾患の管理
  • 適正体重の維持:肥満は皮膚トラブルの原因になりえます

などが予防につながります。


繰り返す膿皮症は「原因を見つけること」が大切です

膿皮症は治療によって改善が期待できる病気ですが、再発を繰り返す場合には背景に別の病気が隠れていることがあります。

そのため、単に細菌感染を治療するだけでなく、「なぜ膿皮症になったのか」を考えることが重要です。

当院では必要に応じて皮膚検査や細胞診検査を行い、それぞれの犬に合わせた治療をご提案しています。

皮膚の赤みやかゆみ、かさぶた、脱毛などが気になる場合はお気軽にご相談ください。

このコラムが飼い主のみなさんの参考になれば幸いです。

「こんなこと聞いてもいいのかな」と思うことでも尋ねてもらえれば、病院として何かお手伝いができるかもしれません。

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