「口が以前よりも臭う」
「最近、口のまわりが濡れている」
「ごはんを食べるのに時間がかかる」
これらの変化は、猫の歯周炎が進行しているサインかもしれません。

【歯周炎コラム】
第1回 犬の歯周炎|口がにおう・歯石がついていることに気づいたら
第2回 猫の歯周炎|よだれ・口臭・食べにくそうは危険なサイン
第3回 犬と猫の歯周炎・歯石|なぜ起こってしまうの?原因をわかりやすく解説
第4回 犬と猫の歯周炎治療|全身麻酔でどんな処置をしているの?処置内容を解説
第5回 犬と猫の歯周炎予防|歯みがきができない子はどうすればいい?
そもそも歯周炎とは?歯周病・歯肉炎とは何が違う?
まず、歯周病とは歯およびその周囲が病的な状態であることを指します。
歯が欠けてしまったり、歯肉炎、歯周炎、虫歯も歯周病の一つです。
歯肉炎は歯の周りの歯肉(いわゆる歯茎)に炎症が起きている状態を言います。
そして、歯周炎とはさらに進行して歯肉や歯を支える骨(歯槽骨)なども溶けてしまっている状態を言います。
歯周病という大きなくくりの中に歯肉炎や歯周炎と言われる状態が含まれます。
猫は歯周病になりやすい動物
3歳以上の85%、7歳以上では100%の猫で歯周病が発生していると言われています。
猫は痛みを隠すのがとても上手で、口の痛みがあっても普段どおりに振る舞う動物です。
そのため、気づいたときには歯周炎がかなり進行しているケースも珍しくありません。
歯周炎の症状
次のような変化は、歯周炎のサインです。
- 口臭が強くなった
- ヨダレが増えた・口の周りが汚れている
- 歯肉が赤い・腫れている
- 硬いフードを嫌がる・フードをこぼす・片側だけで噛んでいる
- 口の周りを気にする・前足で触る
これらは、口の中に痛みや炎症があるサインです。
放置すると起こるトラブル、口が痛くて食べられない…
猫の歯周炎は症状に気づきにくく、気づけても猫を病院へ連れて行くのを躊躇する方も少なくないと思います。
しかし歯周炎が進行すると、歯肉や歯を支える骨(歯槽骨)が溶けて強い痛みが出てきます。
その結果、何かを食べたい気持ちはあっても痛くて食べられない状態になることがあります。
そうなると、栄養不良に陥ってしまい単なる口の問題ではなくなります
また、高齢の猫でよくあるパターンでは、フードとともに飲水量が減少することで脱水傾向となり、脱水によって一気に慢性腎臓病が進行してしまい、いわゆる腎不全と言われる状態になってしまいます。
こうなってしまうと、歯周炎の治療のための麻酔がかけられなくなり、そのため口の痛みが解消されずさらにフード・飲水の量が減ってしまうという悪循環に陥ってしまいます。
こうなる前に早め早めに治療をしてあげたいというのが獣医師としての気持ちです。
動物病院での治療内容
歯周炎の治療は、全身麻酔下での歯石除去と歯周ポケットの洗浄が基本です。
炎症の原因をしっかり除去するには、歯周ポケットの汚れまで徹底的に取り除くことが重要です。
状態によっては抜歯が必要になることもありますが、抜歯後の方が楽に食べられるようになります。
猫に歯みがきは必要?現実的な予防法
理想は歯周ポケットの汚れをかき出すために歯ブラシを使った歯みがきですが、猫では難しいことが多いです。
そんな場合でも、次な物を利用することで口のケアができます。
- デンタルペースト・ジェル
- デンタルトリーツ など
これらに加えて定期的な口腔チェックを実施することで、進行を遅らせることができます。
猫のよだれや口臭、食べにくそうな様子は、年齢のせいではなく歯周炎による痛みかもしれません。
気づきにくいからこそ、早めのチェックがとても大切です。
歯周病は「単なる口の病気」ではなく、猫の場合は対応が遅れると、これまでに書いたように命に関わる状態に陥ってしまうことも多いです。
日頃から、猫の口の中の状態を気にかけて、何か気になる事があればすぐに動物病院へ受診するようにしてください。
このコラムが飼い主のみなさんの参考になれば幸いです。
不安な点、心配な点があれば気軽にご連絡・ご相談ください。
「こんなこと聞いてもいいのかな」と思うことでも尋ねてもらえれば、病院として何かお手伝いができるかもしれません。





