「最近、犬の口がくさい気がする」
「歯に茶色い汚れがついている」
お家で気づいたり、健康診断やトリミングでそう言われたことはありませんか?
それは歯石だけではなく、すでに犬の歯周炎が始まっているサインかもしれません。

【歯周炎コラム】
第1回 犬の歯周炎|口がにおう・歯石がついていることに気づいたら
第2回 猫の歯周炎|よだれ・口臭・食べにくそうは危険なサイン
第3回 犬と猫の歯周炎・歯石|なぜ起こってしまうの?原因をわかりやすく解説
第4回 犬と猫の歯周炎治療|全身麻酔でどんな処置をしているの?処置内容を解説
第5回 犬と猫の歯周炎予防|歯みがきができない子はどうすればいい?
そもそも歯周炎とは?歯周病・歯肉炎とは何が違う?
まず、歯周病とは歯およびその周囲が病的な状態であることを指します。
歯が欠けてしまったり、歯肉炎、歯周炎、虫歯も歯周病の一つです。
歯肉炎は歯の周りの歯肉(いわゆる歯茎)に炎症が起きている状態を言います。
そして、歯周炎とはさらに進行して歯肉や歯を支える骨(歯槽骨)などが溶けてしまっている状態を言います。
まとめると、歯周病という大きなくくりの中に歯肉炎や歯周炎と言われる状態が含まれます。
歯周炎の症状
次のような変化は、歯周炎のサインです。
- 口臭が強くなった
- 口を触られるのを嫌がる
- 歯肉が赤い・歯肉から出血する
- ヨダレが増えた・口の周りが汚れている
- 硬いものを食べづらそうにしている
- 片側だけで物を噛むようになった など
犬は軽度の痛みではあまり症状を見せないですが、ほとんどの場合で口の中では炎症が進んでいます。
進行するとどうなる?歯が抜けるだけではない…
歯周炎が進行すると、歯を支える骨(歯槽骨)が溶けていき、次のような症状が見られます。
- 歯がぐらつく・抜ける
- 顔が腫れる:歯の根元の骨が溶けて、皮膚まで炎症が広がり、場合によっては皮膚が破れ膿が出てきます。
- 鼻水が出る:歯の根元の骨が溶けて、鼻腔(鼻の奥の空気の通り道)とつながり膿が鼻水として出てきます。
- あごの骨が折れる
これらは、歯周炎が重度に進行した状態であり、深刻なトラブルにつながります。
あごの骨が折れてしまった場合は痛みによりフードを全く食べられなくなることもあります。
また、歯周病菌が血流に乗って全身に回ることで、心臓や肝臓、腎臓などに負担をかけることも知られています。
動物病院では何をするの?
歯周炎の治療は、全身麻酔下での歯石除去と歯周ポケットの洗浄が基本です。
表面の歯石を取るだけでは不十分で、歯周ポケットの汚れを徹底的に取り除くことが重要です。
歯周の状態によっては抜歯が必要になることもありますが、抜歯後の方が口の違和感はなくなり楽になります。
家でできる予防と歯みがきの注意点
歯周炎は、正しいケアである程度は予防できる病気です。
理想は歯ブラシにより日頃から歯周ポケットの汚れをかき出すことです。
しかし、歯ブラシを嫌がる子も多いので、最初は無理に歯ブラシを使わないのが大切です。
その場合には次のようなものを利用するのも一つです。
- デンタルガム
- デンタルペースト・ジェル
- 歯磨きガーゼ など
これらにを使って徐々に歯ブラシに慣れていってもらいます。
加えて定期的な口腔チェックを実施することで、進行を遅らせることができます。
歯周炎はほとんどの犬が持っているとても身近な病気ですが、気づかれにくく、放置されやすい病気でもあります。
「口がくさい」「歯石がついている」と言われたら、それは治療のタイミングかもしれません。
このコラムが飼い主のみなさんの参考になれば幸いです。
不安な点、心配な点があれば気軽にご連絡・ご相談ください。
「こんなこと聞いてもいいのかな」と思うことでも尋ねてもらえれば、病院として何かお手伝いができるかもしれません。





