犬アトピー性皮膚炎の治療法まとめ|薬・スキンケア・食事療法の正しい組み合わせ

『犬アトピー性皮膚炎』と診断されたあと、飼い主さんが最も悩まれるのが「どんな治療をするのか?」という点です。
アトピーは体質による病気であり、ひとつの方法だけでは治療が上手くいかない場合もあり、いくつかの治療を組み合わせてコントロールしていきます。

治療の目的は「かゆみをゼロにすること」ではなく、「かゆみを和らげ、良好な皮膚の状態を維持すること」です。

【犬アトピー性皮膚炎コラム】
【第1回】犬がかゆがるのはなぜ?犬アトピー性皮膚炎の初期サイン

【第2回】犬アトピー性皮膚炎とは?原因と仕組みを獣医師がわかりやすく解説

【第3回】犬アトピー性皮膚炎の検査と診断|アレルギー検査は本当に必要?

【第4回】犬アトピー性皮膚炎の治療法まとめ|薬・スキンケア・食事療法の正しい組み合わせ


薬で炎症・かゆみを抑える

かゆみがあると、そこを強くかくことで皮膚が傷つき炎症が悪化します。まず皮膚のかゆみを抑えることが最優先となります。

そのためには、以下のような薬剤を使用します。

  • ステロイド (注射・飲み薬)
  • シクロスポリン (飲み薬)
  • オクラシチニブ (飲み薬)
  • イルノシチニブ (飲み薬)
  • ロキベトマブ(注射)

これらは、かゆみの原因となる炎症(免疫反応)を抑える薬です。皮膚の状態や、その子との相性を考えながら薬剤の種類を選択していきます。


塗り薬で炎症をピンポイントに抑える

皮膚の炎症が起きている部分には塗り薬で対処することができます。

部分的で軽度な炎症であれば塗り薬だけでもかゆみを抑えることができ、また飲み薬と併用することで、飲み薬の量を減らし副作用の軽減にもつながります。

飲み薬と同じくらい、塗り薬は効果的で重要な治療になります。


シャンプーやスキンケアで皮膚を守る

アトピーの犬は皮膚のバリア機能が弱いため、スキンケアがとても重要です。

  • アレルゲンを除去する
  • 皮膚の保湿
  • 細菌や真菌の増殖を防ぐ

これらのスキンケアは体拭きシート薬用シャンプー保湿剤などを組み合わせ、皮膚環境を整える治療の一部として行います。


食事療法やサプリメントが役立つこともある

フードによっては皮膚のコンディションを整える効果を持つものもあり、個体差はありますが有効な場合もあります。

サプリメントにも同様の効果が期待できる製品があり、効果的な場合があります。

また、アトピーの犬の中には食物アレルギーを併発している子も少なくありません。食物アレルギー用の療法食を食べることで、かゆみの程度が軽くなることがあります。

すべての犬に必要なわけではありませんが、治療の選択肢のひとつになります。


減感作療法(アレルゲン免疫療法)という選択肢

人の花粉症治療でも用いられていますが、犬でも減感作療法を行うことがあります。

アレルギー検査の結果をもとに、少量のアレルゲンから徐々に体に慣らしていく治療法です。時間はかかりますが、体質そのものを改善する可能性のある治療として行われることがあります。


抗生物質は必須ではない

アトピーの子の皮膚では、ブドウ球菌などの常在菌が過剰に増殖し炎症を引き起こすことがあり、そのような時には細菌を抑え込むために抗生物質を使用することもあります。ただ、単純な赤みやかゆみのみであれば抗生物質は必要ないことが多いですし、不適切に抗生物質を使用することで、耐性菌と言う抗生物質が効きにくい細菌が出現することもあり、その後の治療を難しくします。

同様に、マラセチアと言われる真菌の過剰増殖に対して抗真菌薬が必要となる事もあります。


治療は「組み合わせ」と「継続」がポイント

犬アトピー性皮膚炎は、残念ながら治療により「完治できる病気」ではありません

基本的には、かゆみや皮膚のコンディションを管理しながら、生涯付き合っていく「体質」と言えます。

問題はその子によって様々で、かゆみだけでなく乾燥、ベタつき、フケなど個々の症状に応じて治療を選択します。

そのためには、かゆみを抑える飲み薬や注射薬塗り薬保湿剤薬用シャンプーサプリメントフードなどを組み合わせていく必要があります。

犬アトピー性皮膚炎は長く付き合う病気ですが、適切な治療を続けることで、ほとんどかゆがらず、良好な皮膚の状態を維持することが可能です。

このコラムが飼い主のみなさんの参考になれば幸いです。

不安な点、心配な点があれば気軽にご連絡・ご相談ください。

「こんなこと聞いてもいいのかな」と思うことでも尋ねてもらえれば、病院として何かお手伝いができるかもしれません。

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