「アトピーかもしれないと言われたけど、何か検査は必要?」
「血液検査で原因はわからないの?」
『犬アトピー性皮膚炎』と説明を受けたとき、飼い主さんが最も疑問に感じやすいのが「検査」についてです。
実はここには、大きな誤解がよくあります。

【犬アトピー性皮膚炎コラム】
【第1回】犬がかゆがるのはなぜ?犬アトピー性皮膚炎の初期サイン
【第2回】犬アトピー性皮膚炎とは?原因と仕組みを獣医師がわかりやすく解説
【第3回】犬アトピー性皮膚炎の検査と診断|アレルギー検査は本当に必要?
【第4回】犬アトピー性皮膚炎の治療法まとめ|薬・スキンケア・食事療法の正しい組み合わせ
犬アトピー性皮膚炎は血液検査では診断できない
意外に思われるかもしれませんが、アトピー性皮膚炎は「血液検査で確定診断できる病気」ではありません。
検査結果を見て「アトピーです」と確定できる検査は現状では存在しないです。
その理由として、「アトピーを引き起こすアレルゲンは一つだけではないこと」、「全てのアレルゲンが検査で調べられるわけではないこと」、「アレルギー検査が100%の精度ではないこと」などが挙げられます。
最近、「毛を使ったアレルギー検査」の相談をされることもあります。
(今後、有効性が明らかになる可能性もありますが)現状では信頼できる検査ではないと思います。
アトピーの診断は基本的に「除外診断」で行います
「除外診断」とは予想される病気のリストを一つずつ除外していくことで行われる診断です。
(「Aではない、Bでもない、そうなるとCだ」と言った流れで行います。)
アトピーの診断に関しては、以下のような病気を除外していきます。
- 寄生虫疾患 (ノミ、疥癬など)
- 細菌や真菌(マラセチア)感染
- ノミアレルギー
- 食物アレルギー
これらの病気を除外することがとても重要です。それぞれの病気に対する治療や検査により否定したうえで、症状の出方や経過、発症年齢、かゆみの部位などから総合的に判断します。
また以下のような診断基準に当てはまる項目が多いほど、アトピーを強く疑うこともできますが確定はできません。

アレルギー検査の本当の目的
人では一般的に行われるアレルギー検査は、犬では何のために行うのでしょうか。
その目的は診断のためではなく、治療のためです。
アレルギー検査では、「何に反応しやすい体質か」という情報が得られます。これは、アレルギーの症状を弱めるための『減感作療法』を行う際に必要になります。
「検査=アトピーかどうかを調べるもの」ではなく、 「検査=治療方針を決めるためのもの」と言えます。
ただし、検査精度が100%ではなく、減感作療法に関しても100%治せる治療と言う訳ではありません。
診断には「経過」がとても重要
犬アトピー性皮膚炎の診断では、
- 若い頃からかゆみがある
- 季節で悪化する
- 足先・顔・耳・お腹をかゆがる
- 治療に対する反応
といったこれまでの経過が非常に重要な判断材料になります。
そのため、飼い主さんからの情報が診断の大きな手がかりになります。
アトピーの診断には時間がかかる
「検査をしないと不安」と感じるかもしれませんが、アトピーの診断は上で書いたように「除外診断」にて行われます。この方法は世界的にも行われており、多くの経験と経過に基づいた確立された診断手順です。
ただ、そのために他の病気を除外するための期間、薬への反応性を確かめる期間、季節による症状の変化を確かめる期間など、診断までに手順や時間がかかってしまいます。
丁寧な除外診断が、正確なアトピーの診断を導いて、適切な治療につながります。
このコラムが飼い主のみなさんの参考になれば幸いです。
不安な点、心配な点があれば気軽にご連絡・ご相談ください。
「こんなこと聞いてもいいのかな」と思うことでも尋ねてもらえれば、病院として何かお手伝いができるかもしれません




