犬がぐったりとして「動かない」、「体に力が入っていない」、「呼びかけても反応しない」、「目の焦点が合っていない」
このような様子はほとんどが命に関わるような緊急事態です。一分一秒を争う場合もあるのですぐに受診するようにしてください。
今回はそんな犬が「ぐったりする」原因と注意してほしい点を解説します。

何が原因?
① 腫瘍の破裂(腹腔内)
肝臓や脾臓などの内臓にできた腫瘍が破裂することがあります。破裂といっても一部が裂ける、あるいは表面の血管が破れるなどその損傷の程度に差はありますが、急激に全身の力が入らず、意識がもうろうとした状態に陥ることがあります。
② 急性膵炎
急性に激しい膵炎が起きた際には、嘔吐や下痢とあわせてぐったりとした様子が見られることがあります。
③ 胆管閉塞・胆嚢破裂
胆汁という消化液が肝臓で作られると、一時的に胆嚢に溜められ、その後胆管を通り腸に流入します。
この胆管が詰まってしまったり、胆嚢が破裂することで症状が見られます。
④ 消化管閉塞・消化管穿孔
異物(尖った物やひも状の物)や腫瘍により消化管が詰まる、あるいは穴が開くと犬は急激にぐったりします。
⑤ 呼吸器系の異常
気道に何かが詰まった時や何らかの原因で肺に酸素が取り込めなくなると犬の状態は急変します。
⑥ 心不全・血栓症
不整脈や血栓症などの異常が生じると急激にぐったりとしてしまいます。
⑦ 脳の異常
脳の機能障害や血管に血栓が詰まる、血管が破れる、その他様々な脳の異常が生じると犬の状態は急変します。
⑧ 低血糖
ある種の腫瘍や、栄養状態が悪い(フードが食べられない)時に起こる状態です。特に子犬でなりやすいですが、成犬でも数日の食欲不振により低血糖に陥ります。
⑨ 重度の脱水
嘔吐や下痢を繰り返したり、十分に水が飲めていないときに起こります。
⑩ 貧血
出血や溶血、血を作る能力に異常が生じると貧血が生じます。
⑪ 感染症
様々なウイルスや細菌に感染しそれが重症化すると、ぐったりした状態に陥ります。
⑫ 中毒
チョコレートやタバコ、殺虫剤、様々な植物などが犬に中毒を起こします。
ここまで原因として様々な病気や異常を並べましたが、場合によっては数分で死に至る状況もあります。その他にも基本的に様々な病気が進行すると最終的には「ぐったり」として、命に関わる状態に陥いってしまいます。
緊急性の高いサイン
最初に並べたように、以下の様子はどれも緊急事態と考えてください。
- 動かない
- 体に力が入っていない
- 呼びかけても反応しない
- 目の焦点が合っていない
また、この他にも「体が熱い、あるいは冷たい」、「呼吸が荒い」、「舌や歯グキの色がおかしい」といった場合もすぐに受診するようにしてください。
飼い主さんに覚えておいてほしいこと
基本的に、犬がぐったりしている=命に関わる緊急事態と考えすぐに受診するようにしてください。
腫瘍の破裂や総胆管閉塞、心不全などあまり前兆がなく、急に発生する異常もありますが、「元気・食欲がない」、「嘔吐・下痢をしている」など明らかな前兆が見られる場合もあります。
「何かおかしい」と感じた際には、それが大した病気ではない可能性もありますが、基本的には早めに受診するようにしてください。
当然ですが、「重症になってから」より「軽症なうち」に治療を始めることが重要です。
ぐったりしている状態で「もう少し様子を見てみよう」という選択は最悪のケースに陥ることがあることを覚えておいてください。
「迷った時点で動物病院へ」、これが命を救うために大切な考え方かと思います。
このコラムが飼い主のみなさんの参考になれば幸いです。







