「何度もトイレに行く」「排尿ポーズを取るのに尿が出ていない…」「そもそもおしっこをする様子がない」
このような症状は、かなり危険な状態を表すサインかもしれません。
今回は「猫のおしっこが出ない」という症状について、原因や注意してほしい点を解説します。
※注意
大前提として診察をせずに、「家で様子を見ていて大丈夫」と言うことはできません。
基本的に異常があるようであれば受診することをおすすめしています。

そもそも正常な排尿とは
まず、腎臓で血液から老廃物がこし取られ尿が作られます。この尿が腎臓→尿管→膀胱→尿道を通り最終的に排尿されます。
また、排尿の際には膀胱のふくらみを感じる神経や、排尿するための筋肉も働きます。
基本的にはこれらの機能に異常が生じることで、排尿の異常が生じます。
なにが原因?
まず、A.「排尿ポーズを取るが尿が出ない」、B.「そもそも排尿ポーズも取らない」という2つに分けられます。
A.「排尿ポーズを取るが尿が出ない」
① 尿道閉塞:これはかなり緊急性が高い状態です。
尿道に結石や腫瘍などが詰まり、尿が出なくなった状態で、早めにこの閉塞を解除しないと命に関わります。
この場合、膀胱内には多量の尿が溜まっているはずです。
※特にオス猫は尿道が細く詰まりやすいため要注意です。
② 膀胱炎・尿道炎
これらの疾患では排尿直後にも残尿感が生じるため、膀胱に尿がほとんどない状態でも排尿ポーズを取ります。
この場合、膀胱内に尿はあまり溜まっていません。
B.「そもそも排尿ポーズも取らない」
③ 腎臓・尿管の障害
腎不全(尿が作れない状態)や尿管結石が詰まった状態ではそもそも膀胱に尿が溜まらないため排尿ポーズを取ることはありません。
A、Bどちらの状態もあり得る
④ 神経の異常
排尿に関わる神経に異常が生じると、「膀胱のふくらみを感じられない」あるいは「排尿したいが膀胱出口の筋肉が開かない」といった事態が生じます。
前者であればそもそも排尿ポーズは取らないですし、後者であれば排尿ポーズを取るが尿は出ません。
椎間板ヘルニアやその他の脊髄・神経の異常によって生じます。
家でのチェックポイント
- 排尿ポーズは取っているのか
- 排尿時の様子(痛そうな様子がないか)
- 何度も排尿ポーズを取る場合、全体として尿がそれなりに出ているのか
例:最初に多量の尿をしたのち、少量の尿しか出ない。
- 最後に通常の量の尿をしたのはいつか
- 尿の色
緊急性の高いサイン
- 元気・食欲がない
- 嘔吐をした
- 尿の量が明らかに少ない(排尿ポーズの有無に関わらず)
- 24時間以上尿が出ていない
これらの異常が見られる場合はできるだけ早く受診してください。
場合によっては、1~2日の間に命に関わる状態に陥ることもあります。
飼い主さんへのメッセージ
軽い膀胱炎であれば「何度も排尿ポーズを取って少量の尿しか出ないが、元気・食欲はある」といった様子が見られることもあると思います。しかし、「排尿ポーズを取るが尿がほぼ出ていない」状態は緊急事態であることが多いので早めに受診してください。
「大丈夫かも」と様子を見るよりかは、最悪の場合を想定して受診してもらうことが重要です。
また、排尿ポーズを取らない場合には、そもそも普段の排尿間隔を把握していることが非常に大切になります。
上には「24時間以上尿が出ていない」と書きましたが、普段の排尿間隔より長く尿が出ておらず、元気・食欲が落ちているようであれば、できるだけ早急に受診してください。
このコラムが飼い主のみなさんの参考になれば幸いです。
不安な点、心配な点があれば気軽にご連絡・ご相談ください。
「こんなこと聞いてもいいのかな」と思うことでも尋ねてもらえれば、病院として何かお手伝いができるかもしれません。







