猫が「動かない」、「体に力が入っていない」、「呼びかけても反応しない」、「目の焦点が合っていない」
このような様子はほとんどが命に関わるような緊急事態です。様子見することで刻一刻と救命率が下がってしまうかもしれません。
今回は猫が「ぐったりする」原因と注意してほしい点を解説します。

何が原因?
① 心不全・血栓症
猫は肥大型心筋症という心臓の病気にかかる子が少なくないですが、この病気が進行すると全身への血流が悪くなってしまったり、血栓が作られ血管が詰まることで猫が急激にぐったりすることがあります。
また、不整脈などでも血流が滞りぐったりする様子が見られます。
② 消化管閉塞・消化管穿孔
異物(尖った物やひも状の物)や腫瘍により消化管が詰まる、あるいは穴が開くと猫は急激にぐったりします。
③ 尿路閉塞
腎臓から尿管、膀胱、尿道までの尿の通り道を尿路と言いますが、この尿路が結石や腫瘍などで閉塞すると急激に猫の体調が悪くなってしまいます。
④ 脳の異常
脳の機能障害や血管に血栓が詰まる、血管が破れる、その他様々な脳の異常が生じると猫の状態は急変します。
⑤ 低血糖
特定の腫瘍や、栄養状態が悪い(フードが食べられない)時に起こる状態です。特に子猫でなりやすいですが、成長してからも数日の食欲不振により低血糖に陥ります。
⑥ 糖尿病
糖尿病は高血糖になってしまう病気ですが、動物が生きる上で欠かせない『血糖』を細胞が上手に利用できなくなるため急激に状態が悪くなることがあります。
⑦ 低体温
子猫で起こりやすいですが、長期間状態が悪い猫でも起こります。
⑧ 重度の脱水
嘔吐や下痢を繰り返したり、十分に水が飲めていないときに起こります。
また、慢性腎臓病などでは多量に水を飲みますが、それ以上に水分が尿として出て行ってしまうと脱水が生じます。
⑨ 貧血
出血や溶血、血を作る能力に異常(造血障害)が生じると貧血が生じます。
⑩ 感染症
様々なウイルスや細菌に感染しそれが重症化すると、ぐったりした状態に陥ります。
⑪ 中毒
チョコレートやタバコ、殺虫剤、ユリ、その他様々な植物が猫に中毒を起こします。
ここまで原因として様々な病気や異常を並べましたが、基本的にどのような病気でも進行すると最終的には「ぐったり」として、命に関わる状態に陥いってしまいます。
緊急性の高いサイン
最初に並べたような、以下の様子はどれも緊急事態と考えてください。
- 動かない
- 体に力が入っていない
- 呼びかけても反応しない
- 目の焦点が合っていない
- 呼吸が荒い
また、この他にも「体が熱い、あるいは冷たい」、「舌や歯グキの色がおかしい」といった場合もすぐに受診するようにしてください。
飼い主さんへのメッセージ
基本的に、猫がぐったりしている=命に関わる緊急事態と考えすぐに受診するようにしてください。
心不全や血栓症、尿路閉塞などあまり前兆がなく、急に発生する異常もありますが、「元気・食欲がない」、「嘔吐・下痢をしている」など明らかな前兆が見られる場合もあります。
「何かおかしい」と感じた際には、それが大した病気ではない可能性もありますが、基本的には早めに受診するようにしてください。
当然ですが、「重症になってから」より「軽症なうち」に治療を始めることが重要です。
ぐったりしている状態で「もう少し様子を見てみよう」という選択は最悪のケースに陥ることがあることを覚えておいてください。
「迷った時点で動物病院へ」、これが命を救うために大切な考え方かと思います。
このコラムが飼い主のみなさんの参考になれば幸いです。
不安な点、心配な点があれば気軽にご連絡・ご相談ください。
「こんなこと聞いてもいいのかな」と思うことでも尋ねてもらえれば、病院として何かお手伝いができるかもしれません。







