猫の慢性腎臓病の余命は?自宅でできるケアと生活のポイント

猫が慢性腎臓病と診断された時に、多くの飼い主さんが最初に不安になるのが、
「あとどれくらい生きられるの?」、「家で何をしてあげればいいの?」と言ったことかと思います。

慢性腎臓病は残念ながら「治る病気」ではありません。
しかし、適切なケアができれば進行をゆるやかにし、穏やかに長く過ごすことは十分に可能な病気です。

今回のコラムでは、余命の考え方と、自宅でできる具体的なケアを分かりやすくまとめます。


猫の慢性腎臓病の余命はどれくらい?

発見されたステージ(進行度)によって、慢性腎臓病の余命は大きく変わります。

ただし、この後に書く数字はあまり重視する必要はないと思います。その理由も最後にお伝えします。

  • ステージ 1 :血液検査では目立った以上はまだ見られません。このステージで発見するには定期的な血液検査や超音波検査・レントゲン検査、尿検査などが必要です。

このステージでは大きな治療を必要としないことが多く、定期的な検診や適切な食事管理が主体となります。

この時点では、その後も数年以上安定する子がほとんどで、余命を考えるような段階ではありません。

  • ステージ2 血液検査ではっきりした異常が出始めます。

この段階での適切なケアがその後の数年間の経過を大きく左右します。上記のケアに加え、それぞれの検査結果や症状に応じた治療が必要となる事もあります。

このステージでも適切なケアが行われれば数年間安定して過ごせることもありますが、場合によっては1年ほどで次のステージ3に進行してしまうこともあります。

  • ステージ3 生活の質を落としてしまうような様々な症状が見られるようになります。基本的には慢性腎臓病に伴うこれらの症状に対する治療(点滴や色々な薬など)が必要になります。

余命として1~3年程度と言われることもありますが、個体差も大きくそれ以上安定して過ごす子もいます。

  • ステージ4 慢性腎臓病が重度に進行した状態で、できるだけ生活の質を落とさないようにすることが治療の主体となります。一般的な「適切な治療」にこだわり過ぎず、その子に会った方法を相談していきます。

余命として数日~6か月ほどと言われますが、これに関しても個体差が大きいです。


ステージごとの生活のポイント

ステージ1~2

  • 定期的な検診(血液検査、尿検査、血圧測定など)
  • 水を十分に飲んでもらう工夫
  • 腎臓用療法食への食事変更

この段階では進行をゆるやかに抑えることがケア・治療の目的となります。

ステージ3~4

  • 脱水の補正(点滴など水分の補給)
  • 吐き気・食欲不振への対応
  • 貧血や高血圧への対応

この段階ではそれぞれの症状を抑え、生活の質を保つことがケア・治療の目的となります。


自宅でできる脱水対策

慢性腎臓病を持つ猫にとって脱水は最大の敵です。お家で最も重要なケアは「水分をどのように摂ってもらうか」です。

飲水を促し、脱水を防ぐために以下のような工夫が考えられます。

  • ウェットフードを与える
  • こまめに水を新しいものにする・ぬるま湯にする
  • 水の置き場所を増やす
  • 水が流れるタイプの給水器を使用する
  • 水を入れる容器の素材(陶器・プラスチック・ステンレスなど)を変えてみる など

ステージが進むと、病院や自宅での皮下点滴が必要になる事もあります。
「飲水量を確保する」と言葉だけでは単純ですが、実際にはなかなか難しく、しかし最も重要なケアの一つです。


飼い主さんへのメッセージ

『ステージと余命の考え方』

ここまで書いてきたようなステージごとの余命などの数字は参考にはなりますが、あくまでも「過去のデータ」であり、いま慢性腎臓病を抱えるそれぞれの猫がどのような経過をたどるかは誰にもわかりません。

大事なのは「できるだけ早期に慢性腎臓病を発見すること」と「現状に対して今できるケアを実践すること」です。それには日頃からの定期的な健診病気が分かってからの対応を知ることが重要です。猫はとても気難しい動物で、一般的に動物病院が提案する「適切な治療」をすべての子で行えるわけではないと思います。

「病院に連れていけない子」、「療法食を絶対食べない子」、「薬を飲まない子」など飼い主さんを悩ませることは本当に多いですが、その子に合わせてできることを考えていきましょう

繰り返しになりますが、「余命」をあまり意識し過ぎず、「今してあげられる事」を考えて前向きに病気を抱える猫に向き合っていくことが重要です。

このコラムが飼い主のみなさんの参考になれば幸いです。

不安な点、心配な点があれば気軽にご連絡・ご相談ください。

「こんなこと聞いてもいいのかな」と思うことでも尋ねてもらえれば、病院として何かお手伝いができるかもしれません。

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