猫の慢性腎臓病の治療法|点滴・内服・通院頻度について

猫の慢性腎臓病の基本的な治療方針

猫の慢性腎臓病では、残念ながら失った機能は回復せず、そのため完治させることはできない病気です。
そのため治療の目的は「完治すること」ではなく以下のような「進行を抑えること」になります。

  • 腎機能低下の進行をゆるやかに抑える
  • 体に溜まってしまう尿毒素(老廃物)を減らす
  • さまざまな症状をやわらげ、生活の質を保つ

ステージや症状に応じて、色々な治療内容を組み合わせていきます。


皮下点滴はいつから始める?

慢性腎臓病の進行により、猫は慢性的な脱水状態に陥ってしまいます。この脱水を補正するために行うのが「皮下点滴」です。

  • 元気・食欲が落ちてきた
  • 水を飲めていない
  • 血液検査の数値が悪化してきた

こうしたタイミングで開始することが多く、脱水を補正し尿量を増加させることで尿中への尿毒素の排出量が増え、これらの症状を抑えることができます。

ちなみに、「皮下点滴」とは皮下の脂肪層に点滴液を注入する方法です。この点滴液は皮膚の下の細かい血管から徐々に吸収され、全身へ水分がいきわたります。


点滴はどのくらいの頻度で必要?

点滴の頻度は、元気・食欲や血液検査の結果など猫の状態によって大きく異なります。

毎日~週に1回程度で実施することが多いですが、猫の状態に合わせて頻度を調整していきます。

場合によっては自宅で皮下点滴を実施してもらうこともあります。


どんな薬を使うの?

慢性腎臓病の治療では、病気に伴う症状検査での異常に応じてさまざまな薬を使います。

  • リン吸着剤 :食事中のリンの吸収を抑え、高リン血症を是正します
  • 制吐剤 :嘔吐・吐き気を抑える
  • 食欲増進剤
  • 降圧剤 :高血圧を抑える
  • 造血剤 :貧血を改善させる 
  • プロスタグランジン製剤 :慢性腎臓病の進行を抑える
  • 整腸剤 など

これらの薬はそれぞれの症状に応じた「対症療法」として使用する薬ですが、問題になっている症状を抑えることは元気・食欲を改善し生活の質を維持するためには非常に重要な治療となります。

ただし、猫は飲み薬を飲んでもらうのが難しい動物なので、優先すべき薬がどれなのか慎重に選ぶ必要があります。

参考:IRIS 犬猫の慢性腎臓病の診断、ステージングおよび治療


通院はどれくらい必要?

症状がない初期の段階では1〜3か月に1回、定期的に血液検査を行うことが多いです。病気の進行に応じて通院頻度は増えていきます。

  • 体重測定
  • 血液検査
  • 尿検査
  • 血圧測定

これらを定期的に確認しながら、治療内容を調整していくことが重要です。

慢性腎臓病は「長く付き合う病気」です。それぞれの子の状態に合わせて、その子にしてあげられるような治療方針を立てていきます。

このコラムが飼い主のみなさんの参考になれば幸いです。

不安な点、心配な点があれば気軽にご連絡・ご相談ください。

「こんなこと聞いてもいいのかな」と思うことでも尋ねてもらえれば、病院として何かお手伝いができるかもしれません。

関連記事

  1. 猫が水をよく飲む・おしっこが増えた|慢性腎臓病の初期サイン

  2. 猫の慢性腎臓病の食事療法|療法食の選び方と食べない時の対処法…

  3. 猫の慢性腎臓病の余命は?自宅でできるケアと生活のポイント

  4. 猫の慢性腎臓病とは?ステージ分類と検査項目を獣医師が解説

PAGE TOP