猫の慢性腎臓病とはどんな病気?
猫の慢性腎臓病は、高齢猫で非常によくみられる代表的な病気で、なんとなく聞いたことがある方も多いと思います。
今回は慢性腎臓病の診断方法や進行度を表すステージ分類について解説します。

腎臓の働きとは?なぜ悪くなるの?
猫はもともと砂漠地帯に住むリビアヤマネコが起源と言われています。水が少ない地域で生活していたことから、体外への水分の喪失を抑えるために尿を高度に濃縮する能力が必須でした。
そのため腎臓にかかる負担が大きく、加齢によって腎臓の機能が落ちやすいと言われています。
腎臓は以下のような、体にとってとても重要な働きをしています。
- 体の老廃物を尿として排泄する
- 体内の水分バランス・電解質バランスを保つ
- 血圧の調整
- 赤血球を作るホルモンの分泌 など
これらの腎臓の機能が少しずつ低下していく状態が慢性腎臓病であり、失われた機能は元には戻りません。
慢性腎臓病の原因はさまざまですが、以下のようなものが考えられます。
- 加齢
- 体質・遺伝性
- 過去の腎臓・尿路の障害(結石や感染症)
- 高血圧 など
ただし、実際に慢性腎臓病と診断する時点では、原因が特定できない場合が多いです。
最近では、腎臓の機能を正常に保つための『AIM』という物質が、猫では機能しにくいため慢性腎臓病になりやすいという報告もあります。
IRISステージ分類を解説
慢性腎臓病は進行度によって各ステージに分類されます。IRIS(国際獣医腎臓病研究グループ)という組織によって提唱されているためこれを『IRISステージ分類』と言います。
このステージによって、治療方針や予後が大きく変わります。
- ステージ1(初期):腎臓の構造異常や尿蛋白の出現 (血液検査では異常なし、あるいは腎数値の軽微な上昇)
- ステージ2:軽度の腎機能低下 明確な腎数値の上昇・尿比重の低下
- ステージ3:中等度の腎機能低下 さらなる腎数値の上昇
- ステージ4:重度の腎不全状態 重度の腎数値の症状
これらのステージは主に血液検査での数値(クレアチニン・SDMA)により分類されます。また、各ステージの中でさらに細かく分類されたサブステージというものもあり、これは「血圧」と「尿蛋白」によって評価され、それぞれに対応する投薬の必要性を検討します。
重要なのは早い段階で発見できるほど、進行をゆるやかに抑えることが可能ということです。
参考:IRIS 犬猫の慢性腎臓病の診断、ステージングおよび治療
血液検査で何がわかる? クレアチニン・尿素窒素・SDMA
慢性腎臓病の診断で重要なのが血液検査です。これらの値によって重症度を評価します。
- クレアチニン(Cre):腎機能低下で上昇
- 尿素窒素(BUN):老廃物の蓄積を反映
- SDMA:より早期から上昇する腎機能マーカー
血液検査以外にも、慢性腎臓病の評価には尿検査や血圧測定もあわせて評価することが重要です。
早期発見が難しいと言われる理由
慢性腎臓病は、腎機能の約70%以上が失われるまではっきりした症状が出にくい病気です。
「症状が出たときには、すでに進行している」といった場合が多いです。
だからこそ、元気なときからの定期的な健康診断や、日ごろからよく猫の様子を観察し、わずかな変化に気づいた時に病院へ相談・受診することが、とても大切になります。
慢性腎臓病は早期に発見することで、その進行をゆるやかに抑えることができる病気です。
このコラムが飼い主のみなさんの参考になれば幸いです。
不安な点、心配な点があれば気軽にご連絡・ご相談ください。
「こんなこと聞いてもいいのかな」と思うことでも尋ねてもらえれば、病院として何かお手伝いができるかもしれません。





