猫の混合ワクチンとは?
混合ワクチンは、一回の注射で複数の感染症をまとめて予防できるワクチンです。

どんな病気を予防するの?
混合ワクチンは次のような病気を予防します。
①【コアワクチン】 ここに含まれる感染症は特にリスクが高く、どの猫にも基本的に予防接種が推奨されます。
- 猫ウイルス性鼻気管炎(猫ヘルペスウイルス感染症)
くしゃみや鼻水、目ヤニ、発熱など風邪のような症状が見られ、重症化すると肺炎を起こすこともあります。 - 猫カリシウイルス感染症
くしゃみや鼻水、口内炎や発熱、食欲低下が見られます。 - 猫汎白血球減少症(猫パルボウイルス感染症)
激しい嘔吐や下痢、白血球の減少による免疫力低下が起こります。特に子猫では致死率が非常に高い病気です。
いずれの病気も命に関わることがあり、特に子猫では重症化しやすいのが特徴です。
②【ノンコアワクチン】ここに含まれる感染症は暮らしている地域や環境によって予防接種の推奨度が変わります。
- 猫白血病ウイルス感染症
免疫力の低下や貧血、腫瘍などを引き起こす病気です。外に出る猫や多頭飼育の環境では特に注意が必要です。 - 猫クラミジア感染症
結膜炎(目の充血や目ヤニ)を引き起こし、慢性的に症状が続くことがあります。
いつ打つの?
子猫の場合
- 初めてのワクチンは生後6〜8週頃
- その後4週間おきに2~3回接種
- 初年度の最後の接種は生後16週以降
成猫の場合
- 毎年1回の接種
参考:WSAVAワクチネーションガイドラインについて
このガイドラインでは【コアワクチン】に関しては3年に1回の追加接種が推奨される場合もあります。
ただし、「個体差により十分な免疫が維持できない可能性」があることや、「生活環境」などによって1年に1回の接種が必要となる場合があるため、基本的には1年に1回の接種をお勧めしています。
抗体価(免疫がどれくらい残っているか)を測定し、接種時期を調整することも可能です。
副作用はないの?
副反応と呼ばれ、以下のような症状が見られることがあります。
- 元気・食欲の低下
- 接種部位の腫れ、痛み
- 軽い嘔吐や下痢
- 軽度~中等度のアレルギー反応:顔の腫れ、かゆみ、じんましんなど
- 重度のアレルギー反応(アナフィラキシー):ぐったりする、呼吸困難など
- ワクチン関連肉腫:ワクチン接種部位にできる腫瘍
発生率は副反応全体で200頭に1頭程度、アナフィラキシー・ワクチン関連肉腫で1万頭に1~5頭程度と言われています。
また、重度の副反応は多くがワクチン接種後30分以内に見られます。
そのため、すぐに対応できるよう接種後は30分ほど院内や近くで様子を見ることをおすすめしています。
なぜ必要なの?
猫の混合ワクチンで予防できる感染症は、治療が難しく時に命に関わることもあります。特に子猫では重症化しやすく、助かっても後遺症が残る場合があります。
「室内飼いだから大丈夫」と思われるかもしれませんが、ウイルスは人に付着して家の中に持ち込まれる可能性もあります。また調子を崩した際には動物病院に行くこともあると思いますが、その時にたまたま感染症を持った子が来院しその子から病気を貰うかもしれません。
そのため、これらの病気は感染症にかかってから治療するよりも、感染症にかかる前に予防することが重要です。
子猫のワクチン接種について
ここからは、なぜ初年度(0歳齢)には何度も予防接種が必要なのかを解説します。
ちょっとだけ難しい言葉が出てきますが、できるだけ簡単に説明したいと思います。
そもそもワクチンって何?
病原体を弱毒化あるいは無毒化させた薬剤で、これを接種することで体がその病原体に対しての抗体を作り抵抗力(免疫)を獲得します。
抗体とは病原体と戦うための免疫の一種です。
なぜ子猫では複数回のワクチン接種が必要?
主に2つの理由があります。
- 移行抗体によるワクチンブレイク
- ブースター効果
移行抗体とは?
子猫犬が母体の初乳(出産直後の母乳)からもらう抗体のことです。
生まれたての子猫は抗体を持っていないので、この移行抗体が体を守るうえでとても重要になります。
ワクチンブレイクとは?
ワクチンを接種しても、その効果が十分に発揮されない状態をワクチンブレイクと言います。
子猫の免疫にとって重要な移行抗体ですが、この移行抗体がワクチンの効果を弱めてしまうことがあります。
子猫の体の中の移行抗体は徐々に減少していきますが、いつなくなるのかは個体差があります。
そこで、ワクチンの効果が邪魔されないよう、子猫の体内からほぼ確実に移行抗体がなくなる「生後16週」以降に最後の一回を接種するようにします。
ブースター効果って何?
1回目のワクチン接種で、体は病原体を認識し、それに対する抗体を作ります。
2回目以降のワクチン接種で、以前記憶した病原体に対して1回目より大量に抗体を作ることができます。
これがブースター効果と言い、感染症を予防する上でとても大切な体の仕組みです。
このような理由から、子猫の時期にしっかりと免疫をつけるためには複数回ワクチンを接種する必要があります。
聞きたいこと、心配なことがあればいつでも気軽にご相談お待ちしています。





