犬の 混合ワクチン とは?
混合ワクチンは、一回の注射で複数の感染症をまとめて予防できるワクチンです。

どんな病気を予防するの?
混合ワクチンは次のような病気を予防します。
①【コアワクチン】ここに含まれる感染症は特にリスクが高く、どの犬にも基本的に予防接種が推奨されます。
- 犬ジステンパー
高熱や咳、神経症状(ふらつきや痙攣)が引き起こされます。 - 犬パルボウイルス感染症
激しい下痢や嘔吐を起こします。 - 犬伝染性肝炎
肝臓に激しい炎症を起こす病気です。
いずれの病気も後遺症が残る場合や、命に関わることもあります。特に子犬では致死率が高くなります。
②【ノンコアワクチン】ここに含まれる感染症は暮らしている地域や環境によって予防接種の推奨度が変わります。
- 伝染性喉頭気管炎
- 犬パラインフルエンザ
上記2つは発熱や鼻水、咳、呼吸困難などを引き起こします。ケンネルコフ(犬カゼ)の原因になります。
- レプトスピラ症
感染するタイプによって様々な症状が見られます(血清型と言われる分類が250種以上)。
発熱や肝炎、腎炎、出血傾向(鼻血や血便、内出血)、黄疸など。成犬でも致死率の高い病気です。
保菌したネズミの尿などから水や土壌が汚染され、人にも感染し病気を引き起こします。
高槻や枚方、島本は田んぼや水路が多い地域なのでレプトスピラ症の予防を強く推奨します。
いつ打つの?
子犬の場合
- 初めてのワクチンは生後6〜8週頃
- その後4週間おきに2~3回接種
- 初年度の最後の接種は生後16週以降
成犬の場合
- 毎年1回の接種
ワクチンのタイプや接種のタイミングによっては4週間の間隔をあけて2回目を打つこともあります
参考:WSAVAワクチネーションガイドラインについて
このガイドラインでは【コアワクチン】に関しては3年に1回のワクチン接種が推奨されている記述があります。
ただし、 以下の理由から当院では基本的に1年に1回の予防接種を推奨しています。
①現状では日本国内に【コアワクチン】あるいは【ノンコアワクチン】だけの混合ワクチンの販売がなく、どちらも含まれた混合ワクチンしか販売されておらず、【ノンコアワクチン】に関しては1年に1回のワクチン接種が必要。
②ワクチンの効果には個体差があり3年以内に効果が切れてしまう場合がある。
このようなことから、当院では基本的に1年に1回の予防接種を推奨しています。
副反応への心配などから、予防接種の回数を抑えたい場合には【コアワクチン】の抗体価(予防効果の指標)を測定し延期することもありますが、延期した場合は【ノンコアワクチン】については予防効果が不十分となる不安があります。
副作用はないの?
副反応と呼ばれ以下のような症状が出ることがあります。
- 元気・食欲の低下
- 接種部位の腫れ、痛み
- 軽い嘔吐や下痢
- 軽度~中等度のアレルギー反応:顔の腫れ(ムーンフェイス)、かゆみ、蕁麻疹など
- 重度のアレルギー反応(アナフィラキシー):力が抜けてぐったりする、呼吸困難、チアノーゼなど
発生率は副反応全体で1千頭に2~5頭程度、アナフィラキシーで1万頭に1~10頭程度と言われています。
また、重度の副反応はほとんどがワクチン接種後30分以内に見られます。
そのため、すぐに対応できるよう接種後は30分ほど院内や近くで様子を見ることをおすすめしています。
なぜ必要なの?
混合ワクチンで予防できる感染症は、治療が難しく特に子犬ほど致死率が高くなる病気です。また命は助かっても後遺症が残ってしまうこともあります。レプトスピラ症などは成犬でも感染すると高い確率で死に至ります。
「散歩は行かないし、他の犬と触れ合うこともない。」と言う子の場合でも、人の靴などに汚染した水や土が付着して家の中に持ち込まれる可能性もあります。また調子を崩した際には動物病院に行くこともあると思いますが、その時にたまたま感染症を持った子が来院しその子から病気を貰うかもしれません。
そのため、これらの病気は感染症にかかってから治療するよりも、感染症にかかる前に予防することが重要です。
子犬のワクチン接種について
ここからは、なぜ初年度(0歳齢)には何度も予防接種が必要なのかを解説します。
ちょっとだけ難しい言葉が出てきますが、できるだけ簡単に説明したいと思います。
そもそもワクチンって何?
病原体を弱毒化あるいは無毒化させた薬剤で、これを接種することで体がその病原体に対しての抗体を作り抵抗力(免疫)を獲得します。
抗体とは病原体と戦うための免疫の一種です。
なぜ子犬では複数回のワクチン接種が必要?
主に2つの理由があります。
- 移行抗体によるワクチンブレイク
- ブースター効果
移行抗体とは?
子犬が母体の初乳(出産直後の母乳)からもらう抗体のことです。
生まれたての子犬は抗体を持っていないので、この移行抗体が体を守るうえでとても重要になります。
ワクチンブレイクとは?
ワクチンを接種しても、その効果が十分に発揮されない状態をワクチンブレイクと言います。
子犬の免疫にとって重要な移行抗体ですが、この移行抗体がワクチンの効果を弱めてしまうことがあります。
子犬の体の中の移行抗体は徐々に減少していきますが、いつなくなるのかは個体差があります。
そこで、ワクチンの効果が邪魔されないよう、子犬の体内からほぼ確実に移行抗体がなくなる「生後16週」以降に最後の一回を接種するようにします。
ブースター効果って何?
1回目のワクチン接種で、体は病原体を認識し、それに対する抗体を作ります。
2回目以降のワクチン接種で、以前記憶した病原体に対して1回目より大量に抗体を作ることができます。
これがブースター効果と言い、感染症を予防する上でとても大切な体の仕組みです。
このような理由から、子犬の時期にしっかりと免疫をつけるためには複数回ワクチンを接種する必要があります。
聞きたいこと、心配なことがあればいつでも気軽にご相談お待ちしています。




